ベトナム国・ダナン市スマートシティにおける
質の高い電力インフラおよびエネルギー効率化に関する
ビジネス実施可能性調査東電設計株式会社

1インフラ/エネルギーインフラFS事業の概要
ベトナム国ダナン市の工業団地であるダナンハイテクパーク(DHPIZA)に、日本の優れた技術をベースとしたスマートエネルギーパイロットプロジェクトを実現し、電力供給力や信頼度の向上を図る。
具体的には、屋根置き太陽光(PV)/蓄電池/PCS/スマートメータ/FEMS/BEMSをDHPIZA内の公共施設/工場/ビル(住宅は将来)に設置し、EMSにより分散配置された設備の監視制御を行い、電力の地産地消の促進や停電時のバックアップなどを目指す。さらに、既設の配電自動化(DAS)のアップグレイドや将来のAMIとの連系も検討する。

2事業の競争優位性など、特にアピールしたい特徴
日本の優れた製品を積極的に活用し、日本の競争力向上を目指す。なお、価格競争力向上も重要であり、ベトナムの人材の活用や当該工業団地での現地化促進などにより低コスト化を目指す。具体的に競争力のある有望技術としては下記。
- 分散配置されたPV/蓄電池をEMSにより制御することで、電力不足/停電バックアップ対策(ベトナムでは実績なし)
- 蓄電池技術
- DASとEMSの融合により、太陽光(PV)が配電系統に大量導入された場合の課題解決技術

3進出先の国や地域のニーズ、抱える課題と解決施策
ベトナムの電力需要は毎年伸びているが、電源の建設は予定通りに進まず計画停電が発生している。その電力不足対策として、FITを規定しPVの促進を進めたが、電力会社の購入が進まずかつ高価な蓄電池の設置も実施されていないことから多くのPVによる電力を捨てている。
本プロジェクトにより、分散配置されたPVの余剰電力を捨てることなく有効活用し、電力不足対策の一助とする。

4インフラ/エネルギーインフラの導入により見込まれる事業の効果

3のニーズや課題に対する、事業の解決施策と効果
工業団地内の電力を、工場などに分散配置された屋根置きPVと蓄電池をセンターのEMSにより制御し、不足分をベトナム電力会社EVNから電力供給を受ける。このことでベトナムの電力供給不足に寄与するとともに効率運用により電力料金の低減を実現する。さらに、EVN系統の停電時に、工業団地内の重要負荷にEMS制御により無停電で電力を供給し、電力信頼度向上を図る効果も期待できる。
事業効果を示す指標などを用いた定量的な説明
試算ではあるが、工場負荷の75%/商業ビルの50%/一般家庭の90%を屋根置きPVと蓄電池の組合わせで供給できる。停電対策としては、工場などの重要負荷は、ほぼ無停電にすることが期待できる。PVなど再生可能エネルギーの活用や油入自家発電機未使用でのCO2削減効果も期待できるので、工業団地での製造製品は、Green製品として海外も含め有利に販売できる。
本事業範囲内における定量的な数値の最終的な見込み
工業団地内のPV/蓄電池を活用して、前述試算値以上の地産地消が見込める。さらに、1需要家の年間停電時間は日本並みの5分以下が見込める。
FS事業実施後の事業進展や受注実績の有無
FS事業実施後、SMART JAMPのスキームでダナン市スマートシテイ調査が2021年度に実施されたが、当社はダナンハイテクパークのスマートエネルギー調査を担当し対応。この2件の調査結果はWeb会議による報告にとどまったが、事業のフォローのため2022年8月に自社費用で現地出張を行い対面で報告実施。
5本事業における今後の計画
- 2022年度にモデル事業の資金支援の見通しを検討
- 2023年度からモデル事業の調査を実施
- 2025年度以降ベトナムの自己資金などによる水平展開
6事業の水平展開の可能性
ベトナムにとって初めてのコンセプト/システムであり、ベトナムの自己資金や借款によるプロジェクトの推進は期待できない。プロジェクトを推進するにはその第一歩となる日本の援助によるモデル事業(日本の技術や製品をベースに)が必須と考える。モデル事業にて有益性が確認できれば、ベトナムの自己資金または円借款での他地域への拡販が期待できる。さらにこの実績と現地化による低コスト化で日本企業の競争力アップが実現でき、東南アジアなど周辺諸国への拡販も期待できる。
7質の高いインフラ/エネルギーインフラFS事業の補助金を活用したメリット
政府支援による補助金事業であったため、ベトナムの政府公的機関とのWeb会議や資料の入手に有益であった。民間だけの調査では、政府機関が積極的に動いていただけず、有益な資料やデータの入手が困難であったと考えられる。この事業を通じて、ベトナム政府機関とのより良い関係が構築でき、今後のビジネス展開に有利に展開できるようになったと考える。また、この調査の延長線上で、日本政府の支援による資金支援(無償援助や円借款など)の道筋が見え、支援が期待できそうなことも大きなメリットである。
8本事業に関する問い合わせ先
- 東電設計株式会社
- 担 当:藤澤 篤史
連絡先:03-6372-5965
email:fujisawa@tepsco.co.jp