バングラデシュ国ガス火力複合発電案件調査事業三菱重工業株式会社

1インフラ/エネルギーインフラFS事業の概要
バングラデシュ国(以下、バ国)の発電公社の一つである地方電力公社(Rural Power Company Ltd.(以下、RPCL))がガス火力複合発電案件の開発を計画しているダッカ管区Kodda、チッタゴン管区Mirsarai、並びにバングラデシュ電力開発庁(Bangladesh Power Development Board (以下、BPDB))がガス火力複合発電案件の開発を計画しているダッカ管区Haripurの合計3つの建設候補地につき、実現可能性調査(以下、FS調査)を実施したもの。
2事業の競争優位性など、特にアピールしたい特徴
FS調査の結果、Kodda、Mirsaraiについては当社のJ形ガスタービン、HaripurはH-100ガスタービンの複合発電が最適と考えられ、いずれの場合においても当社製ガスタービンは他社製の同クラス機種と比較して性能面(出力・効率)で競争優位性あり。また将来的には燃焼器を取り換えることで水素焚きへのアップグレードが可能となり、バ国のCO2削減課題にも取組むことができる。

3進出先の国や地域のニーズ、抱える課題と解決施策
バ国の国産ガスの産出量は2017年にピークを迎え、バ国政府は輸入LNGを将来の主な発電燃料として採用。2018年8月には同国初の浮体式LNG受け入れ基地(FSRU)を稼働させ本格的なLNG輸入を開始している。また、2009年-2019年の10年間では発電原価が約2倍に上昇しており、電気代の値上げが国民生活や産業へ大きな影響を与えている。これら背景からも、今後バ国では重油焚きなどの効率の低い既設発電所は廃止され、当社が提案する高出力、高効率で信頼性の高い発電設備に対して大きな期待を寄せている。

4インフラ/エネルギーインフラの導入により見込まれる事業の効果
3のニーズや課題に対する、事業の解決施策と効果
高効率な発電設備を導入することで発電原価高騰の一因である燃料代を大きく削減することが可能。また同出力規模の既存発電設備と比較して燃料消費量を抑えることになるため、年間のCO2排出削減にも大きな効果が見込まれる。
事業効果を示す指標などを用いた定量的な説明
FY2018/2019におけるバ国での火力発電に係るCO2排出量は年間28.96百万トンに達しており、火力発電平均で502.7gr/kWhとなっている。一方、今回計画された3地点に採用される最新型高効率ガス火力複合発電におけるCO2排出量は其々、291.6gr/kWh(Kodda)、289.4gr/kWh(Mirsorai)、330.1gr/kWh(Haripur)となり、この3地点の発電設備が稼働することにより年間のCO2排出削減は、3.88百万トン(13.4%相当)と試算される。
5事業の水平展開の可能性
日本政府及び日本企業が以前より支援をしているバ国の電力計画・マスタープラン策定、送変電強化事業、ガスパイプライン運営効率化事業、さらには日本企業がノウハウを持つLNG受け入れ基地など、夫々の事業は個別で動いているものの、本事業にて発電設備の支援を行うことで、日本としてLNG受け入れから発電・送電までの一気通貫での支援が可能。
6質の高いインフラ/エネルギーインフラFS事業の補助金を活用したメリット
本事業を通じてバ国電力セクターとの関係性を構築させることができ、現地の情報収集活動の強化に繋がった。また、本事業を補完する招聘事業にも採択を頂け、バ国電力セクターのキーパーソンである電力エネルギー鉱物資源省/電力次官・幹部級や、技術項目につき決定権を有するBPDB/会長・取締役級等を日本にお招きすることができ、日本のLNG受け入れ基地、ガスタービン工場、最新鋭のガス火力複合発電所を見学、機器及びメンテナンスに関するノウハウの他、日本の質の高い技術についても理解を深めて頂くことができた。