バングラデシュ国ミレショライ臨海工業団地の
実施準備調査事業株式会社日本開発政策研究所

1インフラ/エネルギーインフラFS事業の概要
本事業は、バングラデシュ国チッタゴン県ミレショライ郡のバンガバンドゥ工業都市内での臨海工業団地開発構想の第1段階として、約200haの経済特区・原料輸入用専用港湾の開発事業を推進するため、合弁会社の組成、運営体制検討、開発費積算の精緻化等の実施準備を行った。
2事業の競争優位性など、特にアピールしたい特徴
バンガバンドゥ工業都市は一箇所にまとまった約12,000haの公有地において計画されており、大型の開発事業が行いやすく、100箇所のEZ開発計画の本丸として位置づけられる。同工業都市では、BEZAがまず土地取得を行い、民間のデベロッパーを募集するという形式を取っている。BEZAから民間へのリース価格が比較的低いため(約15ドル/m2/50年)、他のアジア諸国と比較しても価格競争力は十分である。土地リース権を持つ現地財閥企業を含めた国際合弁事業を組成し、事業実施を目指している。
3進出先の国や地域のニーズ、抱える課題と解決施策
バングラデシュ国政府は2010年に経済特区法に基づき経済特区庁(BEZA)を設立し、全国に100ヶ所の経済特区(EZ)を開発する計画を開始しさらなる経済成長を目指しているが、輸出入の約9割を取り扱う国際港であるチッタゴン港の処理能力不足に起因する輸入原料の不足が足かせになっている。
4インフラ/エネルギーインフラの導入により見込まれる事業の効果
3のニーズや課題に対する、事業の解決施策と効果
本件では、将来的に同国最大の工業都市に発展することが予想されているミレショライ郡におけるバンガバンドゥ工業都市において、工業用バルク原材料輸入用港湾を備える臨海工業団地(経済特区)を開発・運営することで、上記課題の解決を目指す。
事業効果を示す指標などを用いた定量的な説明
事業効果としては、3万トン規模の船舶で輸入した原料・エネルギーを、臨海工業団地に入居する工場の目の前で陸揚げし、ベルトコンベア等で直接工場に搬入出来るため、従来より原料輸送費を大幅に削減することが可能となる。
本事業範囲内における定量的な数値の最終的な見込み
提案の臨海工業団地においては、船舶の規模は従来のチッタゴン港の場合と同じであるが、従来は港で陸揚げした後に陸路で工場までトラック等で輸送する費用の大部分が、臨海工業団地の工場の場合は削減可能である。輸入原料1トン当たりの輸送コスト削減効果は、各工場の立地場所次第である。
FS事業実施後の事業進展や受注実績の有無
コロナ禍の影響で事業の実施は遅れているが、現在は臨海工業団地の合弁パートナーとの協議中である。
5本事業における今後の計画
2023年に合弁パートナーの全メンバーを集めた会議を開催し、覚書締結を目指す。
6事業の水平展開の可能性
- 日本に対してもたらす波及性としては、本臨海工業団地開発事業のうち港部分の開発において日本のマリン系建設会社の受注の可能性が指摘出来る。
- 他国への展開・事業拡大としては、臨海工業団地は日本を始め、タイ、インドなどアジア諸国で成功したモデルであるため、アフリカを含め他のアジア諸国への展開・拡大の可能性は多いに期待される。
7質の高いインフラ/エネルギーインフラFS事業の補助金を活用したメリット
補助金を活用することで、提案事業のFSレポートを完成させることが出来て、合弁パートナーとの協議が開始され、事業実施に向けて大きく前進した。