ベトナム国既存水力発電所における太陽光発電事業
実施可能性調査事業伊藤忠商事株式会社
ハイブリッド再エネ発電事業


1インフラ/エネルギーインフラFS事業の概要
既設水力ダムと同ダム湖上に建設する大規模水上太陽光発電設備が連携発電を行うハイブリッド再エネ発電事業。ハイブリッド連携出力は既設水力容量に一致させるため電力系統の受け入れ体制増強は不要。ハイブリッド連携運転は建設済みの送変電設備を利用するため追加付帯設備は極めて限定的。気象条件により刻々と変動し得る太陽光出力はハイブリッド連携運転により平滑化され、電力需要がより高まる時間帯に電力供給が可能。乾季には太陽光の、雨季には水力のハイブリッド貢献度がより高くなる可能性が高く、系統の電力需給バランスに貢献できる。
2事業の競争優位性など、特にアピールしたい特徴
本ハイブリッド再エネ発電事業の太陽光発電設備はダム湖の水面に設置するので土地収用は不要である。
ダム湖を伴う水力の大半は出力制御可能であり、また太陽光も出力を抑制することができるため、隣接する水力と太陽光を手動で連携運転することは可能である。しかし、この手動運転は発電所運転要員に大きく依存することになる。本ハイブリッド連携発電事業は、ハイブリッド制御システムによる自動連携運転であり、運転要員の能力・経験値に依存せず、またエネルギー損失を最小限に抑えることが可能である。
ハイブリッド連携運転が限りある水力と太陽光エネルギーを有効利用するには、既設水力と太陽光の最適な連携運転が必要となる。本件補助事業では、水力のランプアップ能力と太陽光のランプダウン能力に着目して、ハイブリッド連携出力を既設水力容量以下に維持しつつ、エネルギーロスを最小化する方法論を確立。
既設水力発電プロファイル
独立水上太陽光発電プロファイル
独立水上太陽光+既設水力(単純合計)
理想的水力太陽光ハイブリッド連携運転
3進出先の国や地域のニーズ、抱える課題と解決施策
温室効果ガスによる気候変動への対応は全ての国と地域において切迫した状況にあり、二酸化炭素を発生しない再生可能エネルギーの普及は重要課題になっている。太陽光発電に代表される再エネ発電は二酸化炭素を排出しない。一方で、広い土地が必要かつ、天候に大きく左右されるなどさまざまな課題がある。
- 課題1
- 再エネはエネルギー密度が低いため、大きな設備が必要となる。
- 課題2
- 大規模再エネ事業は、用地確保の観点から、電力インフラが十分に整備されていない地区に計画されることが多い。このため、再エネ電力が最寄り変電所の能力を上回ることが多く、既存送変電設備の増強が再エネ開発の要件になる場合がある。
- 課題3
- 再エネは天候など自然状況に大きく左右され不安定であり、需要に合わせた発電はできない。このため、電力系統では電力需給をバランスさせる「調整機能」が必要となる。現在は火力発電所や揚水発電所が需給調整を行っている。
4インフラ/エネルギーインフラの導入により見込まれる事業の効果
3のニーズや課題に対する、事業の解決施策と効果
- 解決策1
- 本ハイブリッド再エネ発電事業は既設ダム湖での開発を想定しており、所謂用地確保は不要である。
- 解決策2
- 本ハイブリッド再エネ発電事業は既設水力発電所の送電設備を利用するため最寄り変電所等の増強は不要である。
- 解決策3
- 本ハイブリッド再エネ発電事業は需給調整能力を持つため、電力系統側に求める需給調整は極めて限定的である。
事業効果を示す指標などを用いた定量的な説明
既設水力のダム湖に独立水上太陽光を単純開発するならば、電力系統は既設水力容量を超える電力を受け入れる必要がある。しかし、ハイブリッド連携発電事業であるならば、ハイブリッド連携出力は既設水力容量と同じであり、また電力需要が高まる時間帯にピーク発電を行うことが可能となる。
見込まれるCO2削減効果
既設水力発電所に100MW級水上太陽光を開発しハイブリッド連携運転を行った場合のCO2排出削減量(水上太陽光貢献部分のみ)は以下のとおり試算される。
- CO2排出係数 0.333 tCO2/MWh (ttps://www.jcm.go.jp/vn-jp)
- 太陽光設備容量 100 MW
- 年間再エネ供給量 183,042 MWh/年
- 商業運転期間 20年間
- 合計再エネ供給量 3,660,840 MWh
- 総CO2排出削減量 1,219,060 tCO2
本事業範囲内における定量的な数値の最終的な見込み
既設水力と100MW超級の水上太陽光によるハイブリッド連携運転が期待される。
5質の高いインフラ/エネルギーインフラFS事業の補助金を活用したメリット
在越日本大使館から力強いサポートを得ることができた。